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補助金 対象経費 考え方をわかりやすく解説|ポイントは建物費と設備費の区分
- 税理士
- 上田 泰弘
補助金を申請する際に多くの方がつまずくのが、
「対象経費の考え方がよくわからない」 という点です。
特に、建物費・設備費・備品・外注費など、
似ているようで区分が異なる費用があり、
誤った区分で申請すると不採択や減額につながる可能性があります。
この記事では、補助金でよく問われる 対象経費の考え方 を、
建物費と設備費を中心に整理しながらわかりやすく解説します。
1.補助金の対象経費とは
補助金における対象経費とは、
事業の実施に必要で、かつ補助金の対象として認められる費用 のことを指します。
補助金制度ごとに細かい基準は異なりますが、
共通して次のような観点で判断されます。
- 事業の目的に合致しているか
- 交付規程に定められた経費区分に該当するか
- 見積書・契約書などで内容が明確か
- 金額が妥当と判断できるか
特に 経費区分の誤りは減額・不採択の原因になりやすい ため、
申請前に正しく整理しておくことが重要です。
2.対象経費の考え方(基本)
補助金の対象経費は、一般的に次のように分類されます。
- 建物費
- 設備費
- 備品費
- 原材料費
- 外注費・委託費
- 広報費
- 旅費
- 人件費(制度による)
- その他、規定で認められた経費
このうち、今回特に重要となるのが 建物費と設備費の区分 です。
建物に付随する工事・設備の導入は、多くの制度で対象になりやすく、
逆に対象外経費と混同しやすい部分でもあります。

ここからは、建物費と設備費の考え方を整理します。
3.建物費の考え方
建物費は、事業に必要な 建物の新築・増築・改修などにかかる費用 のことです。
代表的な内容は次のとおりです。
- 建物本体の建築費
- 間仕切り工事
- 事業スペースの新設
- トイレ・洗面スペースの設置
- 給排水・電気設備工事のうち、建物一体となるもの
- 外構工事の一部(制度により異なる)
建物費のポイントは、
建物そのものの価値を高める工事が中心であること。
一方で、制度ごとに 対象外となる工事 もあります。
以下は対象外となる工事の例です。
- 駐車場工事
- 太陽光発電設備(制度により対象外)
- 看板の設置
- 修繕のみを目的とした工事
建物費は金額が大きくなりやすいため、
対象かどうか早めに確認しておくことが大切です。
4. 設備費の考え方
設備費は、事業の実施に必要な 機械設備や器具備品の購入・設置費用 のことです。
主な対象例は次のとおりです。
- 機械装置
- 測定機器
- パソコン・タブレット(事業用途に限る)
- 厨房設備
- 製造機器
- 空調設備
- 防犯カメラ 等
設備費のポイントは、
事業の遂行に直接必要な設備であることが示されているか
という点です。
対象外となる例は以下です。
- 個人利用が中心と判断される機器
- 装飾目的の什器
- 家電で代替可能と判断されるもの(例:家庭用冷蔵庫)
建物費と同様、設備費も誤解が多い区分のひとつです。
判断に迷う場合は、決断サポートグループでも制度整理のお手伝いが可能です。
お気軽にご相談ください。
5.補助金申請のポイント
補助金を申請する際に押さえておきたいポイントは次のとおりです。
公募から申請まで
- 経済産業省の補助金申請には、GビズIDプライムアカウントの取得が必須 です。
- 採択されてから発注・購入できるまでに時間を要するため、計画的な事前準備と日程調整が欠かせません。
- 採択後もさまざまな申請手続きが続くため、後工程を見据えた申請が重要です。
- 加点項目や審査項目を正しく捉えた事業計画書の作成 が、採択の大きなポイントになります。
- 補助金は、事業終了後の精算を前提とした精算払い(後払い方式) が基本です。
交付決定から補助金が支給されるまで
- 「採択」=補助金の受給確定ではないため、注意が必要です。
- 補助金に申請した経費に関する資料(見積書・納品書・検収書・請求書など)は、すべて保管しておく必要があります。
- 経費の支払いは、原則として振込のみ認められています。※クレジットカード払いや現金払いは控えてください。
補助金は「書類の整合性」が採択に直結します。
対象経費の考え方を正しく整理することが、申請成功の第一歩です。
6. 一般的な補助金スケジュール
補助金の流れは、大きく
①事前準備〜採択決定、②交付申請〜補助事業実施、③補助事業終了後
の3つのフェーズに分けられます。
それぞれの主なステップは以下のとおりです。
① 事前準備〜公募申請〜採択決定
- 公募開始
補助金の募集が開始され、要件や対象経費が公開されます。 - 公募締切
申請書と必要書類を期限までに提出します。 - 交付候補決定(採択)
審査の結果、事業が採択候補として選定されます。
※この段階ではまだ補助金の利用は開始できません。
② 交付申請〜交付決定〜補助事業の実施
- 交付申請
採択後、補助金を正式に受けられるよう申請手続きを行います。 - 交付決定
内容が承認され、補助事業を開始できる状態になります。
補助事業実施開始
工事・設備導入・支払いなど、計画に沿って事業を実施します。
③ 補助事業終了後
- 実績報告
事業完了後、請求書・領収書・写真などの証憑をまとめて提出します。 - 補助金確定
提出した実績報告の内容が確認され、補助金額が確定します。 - 補助金請求/支払い
確定後、補助金の請求手続きを行い、支払いが行われます。
事業化状況報告
制度によっては、事業化の進捗を一定期間報告する義務があります。

7.補助金申請のポイント
補助金の対象経費は、制度ごとに細かく定められており、
特に 建物費と設備費の考え方 を正しく理解することが重要です。
- 対象経費は制度が定める区分に沿って整理する
- 建物費は建物本体や改修に関わる工事が中心
- 設備費は事業に直接必要な機器・設備が対象
- 対象外経費を申請に含めると不採択リスクがある
補助金申請は事前準備が大切であり、
経費区分の誤りをなくすことが採択への近道です。
制度の内容や経費整理に不安がある場合は、
決断サポートグループでも制度選びや経費整理のサポートを行っています。
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